雪崩が発生するタイミングを知る

久しぶりの更新

前回の更新からだいぶ間が空いてしまいました。
昨年の12月に私の師である若林隆三先生がお亡くなりになられてからどうも筆が進まなかったのです。
元々、このブログが始まったキッカケも若林先生から二人でブログを書きたいとお声がけを頂き準備を始めたものです。

タイトルを考える時も随分と悩みました。
先生と各ブログか〜何がいいんだろうと悩み抜いた末に

いくつか案が出て先生に提案したのですがイマイチピンと来なかったみたいで、却下されある時に「雪崩と生きる」という題が思いついて、先生にメールしたら「雪崩と生きるいいね!」との返事をいただきました。

個人的に気に入ってるのは副題の「ふたりごと」

ひとりになってしまったわけですがやっていくしかないですね。
切り替えて継続して更新していけるように頑張りたいと思います。

雪崩が発生するタイミングを知る

 

結構前になってしまうのですが、お問い合わせで南アルプスで雪崩事故が発生したので南アルプスで雪崩が発生する事は珍しいのでとりあげて欲しいとの要望をいただきました。

先に申し上げておきますが、南アルプスは自分には管轄外で正直事故当時の状況がわからないので詳しく書くことが出来ません。

ただ、雪崩が発生するタイミングというのがあり、そのタイミングが当たったのだろうなと思うのでそのことについて書いて見たいと思います。

簡潔に述べてしまえば雪崩は急激な変化が生じた時に発生しています。

雪崩はいつ発生するか?

(今回書く雪崩は面発生雪崩*全層雪崩を含む を対象として書いております)

雪崩っていつ発生するか考えた事はありますか?
どういった気象条件で発生していますか?
雪が降り積もるだけで雪崩って発生しますか?(点発生は出るかもしれませんね)

まずはどのような気象条件の時に雪崩が発生しているのかを知る必要性があると私は感じています。

留意する雪崩は?

どのような気象条件の時に雪崩が発生しているのかを知らなければ、その日に発生しうる雪崩を予測するというのは難しいだろうなと思います。

予測ができない=発生する雪崩がよめないため何に注意を払っていいのかがわからない→行動の指針を示すことが出来ない

同じ面発生雪崩であってもウインドスラブとストームスラブでは違いがあり、全層雪崩であれば注意するポイントがおのずと変化してきます。

どのような気象条件でどのような雪崩(種類)が発生するのかを把握するという事で予測をすることが出来ます。

雪は急激な変化を嫌う

どのような時に雪崩が発生するかということを深掘りしていきたいと思います。

基本的に雪は急激な変化を嫌います
急激な変化を加えられることで雪質が変化するため積雪層内のバランスが崩れることで雪崩が発生すると私は考えています。

以下に書き示すことが雪に急激な変化をもたらす要因となるもの

  1. 急激な気温変化(寒いから暖かい、暖かいから寒いなど)
  2. 日射(雪面や内部に変化をもたらず)
  3. 風による再配分(雪質にもよるが風速が6mを超えると雪は動き出す、降雪中もしくは降り積もった雪が風に飛ばされることで雪は形を変える)(風により急激な変化が加えられる)
  4. 降雪強度の変化(降雪中の降雪強度(雪の降る強さ)の変化、一定であれば安定に向かいやすいが、降りが弱いところから強くなったり、一降雪期の中でも変化があると不安定な層が形成される
  5. 降雨(マイナスの世界での沸点は0℃、降雨は降り積もった雪は熱湯をかけるようなもの、雨量により留意する雪崩は変化してくる、表層での湿雪雪崩か雨量が多い場合は全層雪崩の発生の危険など)

以上が雪に急激な変化をもたらす要因となるもの
捉え方としては1〜5を単体で捉えるのではなく、複合的に考えなければいけないということ
例えば、夜中に降雪があり降雪強度の変化があり、降雪中に風が吹けば降雪強度の変化による弱層の形成並びにウインドスラブの発達を考慮しなければいけないということ

雪崩の難しさがあるとすれば単一的ではなく、複合的に自然を捉えて向き合わなければいけないということ

山域が違えば
標高が違えば
斜面方位が違えば

雪質も気温も日のあたり方も全然違ってくる
だからこそ、自分が滑る山域の情報収集はとても重要になってくると思う。

どこで(標高、方位、斜度)どういう気象条件の時にどのような雪崩が発生したのか
を考え、見ることで、雪崩の姿が見えてくるのではないでしょうか

森山が見ている雪崩

私が考える雪崩の一つとしてウインドスラブで言えば
雪崩の発生する風速があると考えていて、弱すぎる風は雪崩を作れないし、強すぎる風は雪崩を生まないと考えている。

それは八方の雪崩管理で雪崩が発生した日の風速データを洗い出して、蓄積して、検証をすることで見えてきたこと

もっと言えば
雪崩が発生するちょうど良い風速帯があるのであれば、ちょうど良い風速が吹いている標高帯で雪崩が発生していると私は考えています。

この辺りの話は文章だけだとうまく説明ができないので有料(800円)になってしまいますが、昨年の12月に寒地土木研究所の研究員の原田さんと対談した動画があります。

原田さんによる「地吹雪雪崩」(ウインドスラブ)の解説が前半にあり、後半は2人の対談になります。

具体的にこの風速帯で雪崩が発生していますよ!という貴重なデータを出していますので超絶オススメです。(この辺はまだまだ研究中であるため無料ではなかなか出せない部分になります)

シーズンは終了してしまいましたが、来シーズンに向けて勉強を始めましょう、是非ご覧ください

****動画リンク↓****
https://manabiya.base.ec/items/71817020

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