フッ素化合物(永遠の化学物質)PFASが環境に与える影響を考える

最近は当ブログやSNSでも環境について書くことが多くなってきた。

何故かと問われれば、後出しジャンケンにならないためと言っておこうと思う
自身は取り組んでいるのに、それを書かないのもアホらしいなと書くことにした。

知れば、知るほど、調べれば調べるほど
人類が生きることによっての害というのは大きすぎて、もうどうしようもないくらいに手遅れな状況なんじゃないかと思うようになってきた。

それでも次世代のために自分にできる事は粛々とやっていこうと考えている

何故ブログに書くようになったかというと

スキーという自然に寄り添い行うスポーツを行う私たちにとって
環境問題は切っても切れない問題であり

一番は水循環のなかに多量で多様な
化学物質が入り込むことで“雪質が変化して、発生する雪崩が変化している“んだろうなと感じているからだ

この記事を読み進める前に
2本の記事を読んでから読み進めて貰った方が内容は入ってくるように思う

環境への取り組み#1

雪崩の現場から、23-24シーズンを振り返って明確に感じた変化

雪なんか食えたもんじゃない

違和感を覚えたのはいつからだろうか?
子供の頃と言えば、雪を食べたり、氷柱を採ってはアイスキャンディーと言って舐めていたように思う。あの頃は違和感は感じていなかったように記憶している

それがいつからだろうか?
パウダーを滑っている時に粉雪が舞い、それが口に入った時の雪のまずさ…
そして、喉の痛み、パウダーの日に決まって咳き込んでいる人がいる職場

近年は降雪があれば絶対にネックチューブを着用して、雪が口に入らないように対策をしているし、雪が口に入れば吐き出すようにしている

雪を食べている人を、おいおいマジかよ!と思ってしまう
これを直接的に感じるようになったのは槍ヶ岳山荘の小屋開けなんだろうなと思う

水がない稜線にて飲み水は雪を溶かす他にない(小屋開け時)
煮沸はしているが、一説によると科学物質は煮沸することによって凝縮されるという話もある。

ある年に携帯型の浄水器を持って、小屋あけに入ったら
嘘みたいにそれまで出ていた体調不良は無くなった。

それからと言うものシーズンを問わず、携帯浄水器を携行して山に入るようにしている
東京に行くときにも浄水器は携行して、飲み水は買わずに公園の水飲み場などで水を汲むようにしている。
浄水器を通せば、これがまたあら不思議、東京の水でも美味しくなるのである。

私たちが排出した化学物質は生活の中に入り込んできているのである。それは自然界においても変わりはない

フッ素化合物 PFAS

PFASとはフッ素化合物の総称で現時点で4700種類もの化学的に作られたフッ素化合物が存在するのだそうです。

フッ素と聞いて頭に思い浮かぶのは何ですか?

・歯磨き粉ですか?
・スキーワックス
・撥水剤

スキーヤーであれば思い浮かぶのはこの辺りかなと思うのですが
今では、家庭用のインテリアから台所用品など様々なものに使用されているそうです。

以下は2020年に米WIREDに掲載された記事を翻訳してくださったブログからの引用になります。


Scientists Fight Back Against Toxic ‘Forever’ Chemicals
WIRED 2020/01/15

科学者たちは有毒な「永遠に消えない」化学物質に立ち向かっている

PFASとして知られるフッ素化合物はほとんど分解されない。しかし、科学者たちはこの超強力なフッ素結合を分解しようと研究を続けている。

かつてアメリカの創意工夫の象徴であった PFAS は当初、汚れに耐え、水をはじき、恐ろしい油性の火を消し、肉や卵がフライパンにくっつかないようにする、便利で不思議な化学物質と考えられていた。

しかし今日、私たちはこのようなフッ素化合物を「死なないゾンビ的な化学物質」として認識するようになっている。

化学者たちは、炭素を化学鎖のフッ素に結合することにより、これまでに発見された同様の結合の中で最も強力な結合の 1つを作り出し、このようなフッ素化合物を数多く作成した。現在までに作られたフッ素化合物の種類は 4700に及ぶ。

このフッ素化合物が、地球全体の環境に広がっていることがわかっており、今では、ホッキョクギツネやホッキョクグマの血中からさえ、このフッ素化合物が発見されているのだ。

公衆衛生研究では、アメリカ人の約 95パーセントの血液中に PFAS が見つかっている。フッ素化合物の低レベルの曝露による健康への影響はそれほど明確にはなっていないが、この化学物質は、肝臓、甲状腺、免疫効果の低下、ガン、赤ちゃんの低体重での出生と関連していることがわかっている。

飲料水と環境から PFAS を除去するには、数十億ドル(数千億円)の費用がかかるが、費用以上に現在以上のテクノロジーが必要となる。

アメリカ国防総省が、自らの基地から PFAS を浄化するために 20億ドル(2000億円)以上を費やす用意をしているにもかかわらず、その方法は難しいようだ。

2020年1月17日、米国下院は PFAS 行動法を可決した。これにより、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)は 2つの PFAS ( PFOA と PFOS )の飲料水への添加の制限を設定し、同時に、 PFAS 化学物質を有害物質として指定する必要がある。

ただ、その先への道のりは不確実だ。仮に、上院が法案を可決したとしても、トランプ政権はその規定を「問題があり不合理」と呼び、拒否権をちらつかせている。

しかし、楽観的な事実もある。

いくつかの新しいテクノロジーは、これらの超強力な炭素フッ素結合の破壊(結合の分解)に有望であることが示され始めている。つまり、「永久」の化学物質として知られるこのフッ素化合物は、少なくとも、一部の地下水からは除去できる。

最も有望なアプローチは、落雷のように見える電気反応を伴う。

フッ素で汚染された水はプラズマ反応器を通過し、そこでアルゴンガスが PFAS 化合物を表面に押し出す。表面の上下の電極は、 PFAS と相互作用して炭素 - フッ素結合を切断するプラズマを生成する。プラズマとは、正イオンと自由電子で構成される反応性の高いガスだ。

現在、化学者たちは、化合物をある段階から別の段階に移行するだけでなく、完全に破壊することを目指している。

米ニューヨーク・クラークソン大学の環境エンジニアであるミシェル・クリミ氏は、現在、超音波を使用して水中に空洞(基本的には穴)を作成しすることによる破壊テクノロジーを作成している。

それらが崩壊すると、PFAS チェーンをばらばらにする物理的および化学的反応を引き起こす。他の研究者たちも、電気化学的手法に取り組んでおり、PFAS を代謝する可能性のある土壌細菌にも取り組んでいる。

PFAS を完全に分解できるテクノロジーが生まれれば、それは環境上の偉業といえるだろう。

フッ素化合物を除去して環境を修復する典型的な手法には、水をろ過することが含まれる。これにより、PFAS 残留物が安全にそして永久に除去される。しかし、水をろ過する方法では、水からはフッ素化合物が除去されても、土壌からはフッ素化合物を除去できない。

クリミ氏は、「今や PFAS 化合物は、環境のどこにでもあります」と言う。

「水滴、砂粒、大気のすべてにこの化合物は含まれていますが、その地球環境すべてから、フッ素化合物の分子をすべて除去できるかというと、それは現実的な響きには聞こえないことも事実です」

このフッ素化合物は、まさにどこにでもあり、たとえば、カーペットや室内装飾品に耐汚染性を追加するためにこの化合物が長い間使用されてきたこともあり、子どもの寝室の床の塵やほこりにも PFAS は確実に含まれている。

インテリア小売りチェーンのザ・ホーム・デポは、2019年9月に、PFAS を含むカーペットとラグを段階的に廃止すると発表した。アメリカのいくつかの州では、消防用 PFAS フォームの使用を実際の緊急事態に制限する法律を可決し、訓練演習での使用を禁止した。

一方で、航空機からペースメーカーまであらゆるものに耐久性のあるとされる、このフッ素化合物は、今では 4700を超えるさまざまな PFAS 化学物質が作成され、さらに多くが開発中であるのが現実だ。

現代社会では、家庭、オフィス、そして場合によっては食品からのフッ素化合物への曝露はいたる所で見られる。それは低容量の曝露ではあるとはいえ、この化学物質が「永遠」である限り、私たち全員にとって問題のままだ。

 


https://indeep.jp/we-cant-split-toxic-forever-chemicals-pfas/より引用

以上

私たちが置かれている現状が理解できましたか?

 

スキーヤーとしてできることを考える

では私たちにできることって何だろう?と考えるわけですが

まずはフッ素入りの歯磨き粉を手放すことじゃないですかね。
私の家では小学校で行われる歯へのフッ素塗布も拒否している
めちゃくちゃ酸っぱいし、キンキンするし嫌じゃないですか

次にできることは
フッ素入りのワックスを手放すことですね
春スキーユーザーは熱心なスキーヤーが多いと思いますが
熱心故にフッ素入りのワックスを多量に使用されている方が多いですよね
春に近づけば、近づくほど、雪がベタついてくる
あれはワックス(パラフィン、フッ素)の成分が雪に付着して残留していると気がついていますか?
春スキーこそ絶対に雪を口に入れたくないですね。

今シーズン、珍しく春スキーを熱心に滑っていました。
今まではワックスをするのが億劫だったし、長らくフッ素入りのワックスは使っておらず
滑走性も得られなかったため、早々にシーズンをドロップアウトしていました。

それが今シーズンは珍しく、滑りまくっていた。

理由はフッ素フリーで滑走性の高いワックスを手に入れたことで滑るのが楽しくなったと言うのが一番ですね

私のオススメのワックスはこちらです👇

PFAS Free の流れ

フッ素フリーの流れは着衣にもきている

GORE-TEX社はフッ素加工のメンブレンを廃止して
2025年までにePE膜のメンブレンに切り替えていくと発表しています。

以下GORE-TEX社のサイトより引用

環境上の懸念のある PFCS を排除するための GORE FABRICS の目標とロードマップ*

高レベルの耐久性と性能を維持しながら、消費者向け繊維製品の環境フットプリントを継続的に改善する取り組みの一環として、ゴア ファブリクスは、消費者向け繊維製品のライフサイクルから環境に懸念のある PFC を排除するという目標を設定しました。

Gore Fabrics は、消費者向けファブリック製品から環境への影響が懸念される PFC を排除する予定です。これは、製品のライフサイクル全体を通じて環境への影響を継続的に削減するという長期的な取り組みにおける重要なマイルストーンです。Gore Fabrics は、耐久撥水 (DWR) 処理とメンブレン製造プロセスから環境への影響が懸念される PFC を排除することに取り組んでいます。 

消費者向けファブリック製品から環境に懸念のある PFC を完全に排除する当初の目標は 2023 年末です。ゴア ファブリクスは、DWR の化学的性質、サプライヤーの関与、代替素材の大幅な変更により、この取り組みで大きな進歩を遂げたことを誇りに思っています。発展した。 

ゴア・ファブリックスはこれまでの注力と進捗にもかかわらず、製品開発と規模の課題により、当初の目標日までにポートフォリオ全体の移行を完了することが不可能であることが明らかになりました。ゴア ファブリックスは現在も PFCec フリーの目標に全力で取り組んでおり、2025 年末までに消費者向けポートフォリオの大部分を移行する予定です。

以上

サイトは以下より

自身もePE膜のC0撥水の新しいジャケットはテストしていないが
聞く話によると撥水性、防水性は現フッ素ポリマー加工のものに比べるとかなり劣るらしい
利点はGORE特有の硬さやシャカシャカ感はなくなり、しなやかになるそうです。

早いところ現場でテストして情報は広めていきたいなと考えています。
海外メーカーでは早いところは来春夏製品からePE膜のメンブレンを使用した製品が市場に出てくるとのことで、日本は世界に送れて2025年以降?から製品に反映されるとのこと

サポートを受けているGoldwin社では世界の流れに追随して
日本市場では1年早く、市場に製品を投入してくるそうです。

フッ素のもたらした恩恵は計り知れないが
環境への影響を考えれば、廃止の方向性は好意的である

ただ今までの性能を得られないのであれば
消費者である我々はより良く考えて製品を選択して山に入らなければ
それによる遭難も起こりうるのだろうと考える

免疫にしても、こういった素材にしてもつい最近まで人類は
最強に到達していたんだろうなと思う…

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