21年2月5日八方尾根崩沢で発生した乾雪煙型雪崩(size4)その2

21年2月5日八方尾根崩沢で発生した乾雪煙型雪崩(size4)その1からの続き

崩沢煙型雪崩の発生は13時38分


*写真はHAKUBA47のスタッフがリフト乗車中に撮影し、提供頂いたもの

動画には雪崩前半の映像は写っていなかったが高い雪煙が上がり、崩沢全体で大きく雪崩ている様子が映されていた。

雪崩発生を知ったのは夕方

*気象観測データはlogicalworksさんの気象観測機より引用

この日は雪崩管理のために朝一スノーモービルで上がるも風が強く、リフトが動く気配が無かったため一時待機となった。
9時を過ぎた頃に風が落ち始め、リフトの運行が始まる気配があったので爆薬を仕込み
10時半にアルペンリフトに乗車し、雪崩管理と向かった。

全体的に風が強過ぎたため爆薬を使用しても結果は得られなかったが、展望と呼ばれるエリア標高1680m 東向きの斜面で
スキーカットでH40-60cm W40m L300m の雪崩が発生した。
この破断面にてエクステンドコラムテストを行なった結果 ECTP24 ↓55cm on RG0.2であった。

後の動画で確認して頂ければ分かるが斜面に対して低い地吹雪が入り込み、効率良く砕かれた雪が供給される。
典型的な地吹雪雪崩であった。スキーカットの感触としてはずっしりと踏み応えのある雪を踏み込んだら破断は伝播したという感じだ。

風が弱まったのは一時的、この数時間で山の様子は激変した。

雪崩管理の後、上部のリフトは全て運行する事になったが風が収まっていたのは一時的で11時を過ぎた頃から
また風が強まり始め、13時30分には強風のため上部リフトは運休となった。
この間にも数名の山スキーヤーが山へと入って行っていた。

異変を感じたのは13時30分を過ぎた頃

上部リフトが運休となったため、最終パトロールのためにアルペンクワッドに乗車した時に白馬乗鞍方面、船越ノ頭横の大斜面が大きく雪崩ているのを見つけた。

ここは毎年大きく雪崩ているところなので、この時は「うわ〜!雪崩るわ〜」くらいで特段気にしてはいなかった。
サイズ的には3くらいになるのだろうか?末端がどこまで到達しているのかが気になる。

その後、アルペンクワッドを降りた所にあるパトロールの待機室で待機後

14時過ぎに最終パトロールでグラートクワッドを乗車中に崩沢に目をやると破断面らしきものを見つけたが…あまりの風の強さに視界が悪く破断面なのかイマイチ認識する事が出来なかった(まさかサイズ4の煙型雪崩だったとは…後数十分早くリフトに乗車出来ていたら…生で見られたのに…とても悔やまれる)

事の重大さに気がついた


グラートクワッドの最終パトロールを終えてミックス方面を見上げるとここにも破断面が…

流石に山全体で自然発生が出すぎている。
この1時間のうちに見える範囲で確認しただけでもサイズ2.5以上の物が3本も
しかもこの沢に向けてシュプールが延びているのを見つけた時は嫌な汗が流れた。
まさかな…と思いつつシュプールを確認しに跡を辿ると途中でスキー場に引き返してきていたので一安心

1本の電話

仕事を終え、帰宅をすると色々な情報がネット上に上がっており、崩沢の雪崩(雪煙)が下の林道にまで到達する程
規模の大きなものだという事を知り、最終パトロールで見た破断面はやっぱり大きな破断面だったのかと確信した。

色々と情報を漁っていると、先輩からの電話が

『崩沢で発生した雪崩の事を知っているか?
「はい、SNSで知りました、終パトで破断面も見てます」
『丁度雪崩が発生したであろう時間帯に崩沢に入って行く単独の滑走者を見た人がいるんだよね』

チーーーン

ここから先は結果的に何も無かったから書かなくてもいいのかもしれないけれど、裏ではこういうやり取りがあるんですよという事を知って頂きたくてあえて書きたいと思います(ちなみに私は大町市の遭難対策協議会に所属しています)

まずは雪崩の雪煙を林道で目撃した人に連絡を取って、こういう情報がありますけど、人を目撃しませんでしたか?
自分たちは崩沢に入ってないとのことで、崩沢から降りてきた別のPTと林道で会っているから彼らに聞いてみるよと情報を集めて下さった。

その間に県警の救助隊の方に連絡をして、崩沢で大きな雪崩が発生した。自然発生か人的誘発かは定かではないが、発生したであろう時間帯に単独の滑走者が崩沢に入っていくのを目撃したという情報があります。不確定な要素ではありますが、登山届けを確認して頂いた方がいいかもしれませんという連絡を行い、情報が入り次第逐次連絡しますと電話を切った。

ローカルのパワーって本当に凄いなと思ったのが、色々な所に情報を流す事で新たな情報が入ってきた。

最終的には雪崩発生を目撃していた人のおかげで発生時間が判明して、単独の滑走者は雪崩発生後に崩沢に入っていただろうという事が判明して、登山届が出ている分の帰宅確認が取れました。という連絡を県警の方から頂く事が出来た。
遅くまで本当にありがとうございました!

という事があった。

山に入るのは個人の自由だし、どんな条件下であっても自分で判断をして山に入ればいいと自分は思う。
厳しい環境下で山に入らなければ得られないことや学べない事もある事は事実だ。
ただ、心配している人がいるということだけは忘れないで欲しいなと思う。

低い地吹雪には要注意

効率良く雪崩を作り出す低い地吹雪(雪が効率良く運ばれ砕かれる)が発生している時には山に入らない方が賢明だと私は思う。低い地吹雪の発生目安はスキー場のリフトが強風で止まるか止まらないかの頃が良く低い地吹雪が発生している。
まぁ山見れば低い地吹雪が発生しているのはわかる
そんな時は斜面に飛び込まない方が賢明だとは思う。

ただ雪崩を見たいなら上記の条件でも山に入ればいいと思う。
私はサイズ4の生きた雪崩を一度でいいから自分の目で見てみたい

そして調査へ

多くの人から崩沢の雪崩に関して情報を頂いた事でこれは絶対に破断面調査に行かなくてはならないという思いが私の中に芽生えた。

その3へ続く…

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