リスクを受け入れる
最近は概念的な話が多かったのでもう少し踏み込んで「リスクを受け入れる」という事について書いてみたいと思う
アバランチエアバッグ
*写真は今期BCAから発売された初となる電動タイプのエアバッグ
エアバッグ装着されていますか?と聞かれることがよくある
BCAさんからサポートを受けているので尚のことだろう
答えはノー
個人の山行やスキー場内の雪崩管理でエアバッグを背負う事はない
何故エアバッグを背負わないか?
答えはシンプルで「エアバッグを背負うという選択をする前に出来る事がもっとあるだろうから」といつも答えている
どういう事か解説していこうと思う
雪崩エアバッグにリスクはあるのか?
何故背負わないか?と聞かれたら重いし、背負い心地が悪いからと答える
雪崩管理で言えば、重い事で動きが制限され、背負い心地が良くない事で動きが妨げられる
結果パフォーマンスが落ちるので背負わないという選択を私はしている
(パフォーマンスが落ちる事の方が雪崩管理おいてはリスクであるという捉え方を私はしている)
この事についてはチーム内でも意見が分かれていて、背負う人も入れば、背負わないという選択をする人もいる。その辺りは個人の見解に任せていて、それで良いと思っている。
何故ならリスクの感じ方は人それぞれだから自分の考えを強要する事はない、最低限のレギュレーションさえ守って貰えれば判断は個人に委ねている。
個人の参考で言うなら
山奥深くに入り、長時間の行動をする事が多いゆえ荷物を極力軽くして行きたいと言う考えのもと
長時間の行動の後にはキツイ斜面の滑りが待っていたりするため、滑りのために体力を温存しておきたいという考えもある。
一番は「雪崩の出るようなところには個人では行かないから」というのが理由だろう
そう判断して行動をしている。
要は雪崩が発生したとしてもエアバッグが無いと言うリスクを受け入れて山に入っているということ
エアバッグを付ける時は?
唯一雪崩エアバッグを装着する時があるとしたら
FWTやFWQと言った山岳エリアでの雪崩管理を行う時
なぜこういった時にエアバッグを装着するかと聞かれたら
「これから雪崩が発生しますよ〜という斜面に入って行って雪崩管理を行わないといけないから」
雪崩が発生すると分かっている、起こしにいってるのだから万全の体制で臨む
山岳域で大きな雪崩を発生させ呑まれたら救助に携わる方々に多大な迷惑をおかけしてしまうのでインシデントが起こった時に最低限に留められるように考えている。
こういった大会の雪崩管理で管理側が事故を起こしてしまうと大会が今後開催出来ない可能性や山で管理が行えなくなってしまう可能性その他諸々の事情が考えられるため最高の装備や体制で臨むようにしている。(神経めちゃくちゃすり減るんですよ…)
まとめ
潜在的にエアバッグを装着するという事は雪崩が発生しうる斜面に侵入する事を許容しやすく
なってしまう一面があるかもしれないという事は心に留めておかなければならない
それこそが自分が一番言いたい「エアバッグを持つという選択をする前に出来る事がもっとある」という事に繋がってくる
大切なのは
装備や知識、技術がある上で
持つ、持たない
やる、やらない
の判断をするということ
例えば、エアバッグを持たずしてエアバッグを持たないという事を語るのは論外だし
サーチ&レスキューの技術を持たずして山に入っているのであればお話にならないし、こういった議論の舞台に上がることすら出来ないという事は自覚しておいた方が良いと思う
リスクの捉え方、感じ方は人それぞれでどのような判断を下すかということも人それぞれ
あくまでもこの話は自分が見た時にリスクだと思うこと、それを受け入れて行動しているという事について書いてみた。
何かの参考になるなら嬉しく思う