いつ雪崩が発生するのか?雪が嫌うもの
なんだかお久しぶりの更新になってしまいました。
めんどくさくてサボっているわけではなく、今年は暖冬、小雪で雪が少なく
雪崩が無かったことと、休みなく飛び回っているという感じです。
今年から白馬乗鞍温泉スキー場の雪崩調査に入っていますが、まぁ何ともポテンシャルしか感じないところだな〜
といった感じであります。
最近の傾向
2月の温暖な気候を迎え、このまま行ったらスキー場は3月半ばにはスキー場クローズになるね…
なんて言っていたら3月に入って気温が低下した事とここ最近は降雪がありだいぶ息を吹き返したきた感があります。
久しぶりのパウダーの感覚に興奮しちゃいますよね。
自分も今季初?パウダー機のARMADA JJ Zero 192cm(名機です)を引っ張り出してきたくらいです。
今期はもうパウダー滑れる事はないだろうと考えていただけに気持ちが前のめり過ぎてパウダーなのに前転しそうになったくらいです。
そうなると聞こえてくるのは、スノーモンキーの奇声だけはなく、事故の知らせ
事故の知らせが入るとドキッとするんですよね
(特に自分が白馬にいない時に大きな事故が発生することが多いので)
事故については特に言及するつもりはありません。
時に危険を犯してでも山に入らなければ学べないことがあるのは事実なので
ただその意識があったか、ないかでは話が全く変わってきてしまいますが。
上のグラフは栂池高原スキー場に設置してある気象観測機のデータ(標高1560m付近に設置してある。)
こうやって見ると1月末から雪は減り続け、2月の後半から気温が一気に下がり、積雪が増えているのが見て取れる
にしても雪が少ない…自分が栂池にいた頃は5mとか積雪あったんだけどな…
そう考えたら半分ですよ。
いつ雪崩が発生するのか?雪が嫌うもの
雪って何を嫌うかご存知ですか?
雪というのは”急激な変化”を嫌います。
雪崩が発生している時に気象データを当てはめていくと何かしらの要因が当てはまっていることが見えてくるはずです。
要因となるものは
- 風
- 気温上昇、変化
- 雪温の違い
- 日射
- 降雪強度
- 雪質の違い(降ってくる雪と堆積している雪)
- 雨
風
風に関してはこのブログでも散々書いているので分かりますよね?
吹雪いたり、地吹雪が起これば、降雪に比べて雪は数倍から数十倍、移動するわけです。
急激な変化が生まれますよね。
気温上昇
ここでいう気温上昇は急激なです。
穏やかな気温上昇であればそこまでとは考えていません。雪質にもよりますが。
もしくは今回みたいに温暖な気候が続いた後に急に冷え込んだ時も注意が必要です。
雪温の違い
一番分かりやすいのは西高東低の気圧配置、いわゆる冬型の気圧配置の時に降る雪と
南岸低気圧の時に降る雪の雪温の違い(これだけに限るわけではない)
日射
これは気温上昇とセットで考えるもしくは
ハイシーズン中であれば悪天が数日〜10日など続いた後に出る日射などは要注意
降雪強度
降雪中であっても降りの強さは変化します。
一降雪の中の強度が急激に強まった時間がないかを見ます。
これに関しては雨量計がないと分かり得ない部分が多分にあります。
雪質の違い
雪温の違い、気温上昇の項目であげた事と同じような事が当てはまってきます。
雨
マイナスの世界では沸点は-0℃なわけですから
プラスの温度の雨が降ってくれば雪に熱湯をかけてるようなものなので、急激な変化が生まれます。
大切なのは
上にあげた項目を単体で見るのではなくて、総合的、或いは気象条件に合わせて複合的に考える事が重要です。
単純ではない。
だから雪崩って難しいのです。
直近で言えば29日から急激に気温が上昇して、積雪が増えています。
それに伴って3/2で言えば風も見なければいけないわけです。
2日にFacebookに投稿した記事
気象の変化が激しくて複雑で読むのが難しいんですよね。
こういう時はシンプルに斜度を落とすとか、標高下げるとかそういうところで対応していくしかないんでしょうね
最後に
この記事を書いていたら若林先生との会話を思い出しました。
私「先生、雪崩って雪崩たがっていますよね?」
先生「どうしてそう思うんだい?」
私「雪崩たい時って積雪って不安定なわけじゃないですか、雪崩れば安定できるから雪崩れたいんだろうなと思って」
先生「私もそう思うよ」
私「では雪崩は人が雪崩を起こしてくれたら”安定することができた。ありがとう”って思ってくれていますね、きっと」
先生はニタァーっと笑った。