avalanchistの原点

私がall-roundの雪崩屋(avalanchist)を志したのは1966年10月、26歳の秋。

京大四手井綱英先生と北大村井延雄先生の計らいで、京都を離れ母校北大農学部の助手として雪崩の研究をやることになった。

そのころ、日本の雪崩研究は高橋喜平さん(作家)と四手井先生により、多彩な様相を示した。現在では和泉 薫先生(新潟大学名誉教授)が雪崩の歴史・民俗学を展開されている。

私は世界一の雪崩研究機関であるスイス連邦雪及び雪崩研究所(EISLF)に留学して、雪崩の科学的側面(水文学や生態学を含む)だけでなく、雪崩救助に役立つ犬の扱い、捜索方法、ヨーロッパアルプスの雪崩にまつわる文化的側面、たとえば詩歌、美術、歴史、民俗などを吸収したいと強く強く思った。

当時の日本には「雪崩を恋してしまった男」を満足させるアルプスの本物の知識が入ってきていなかったのである。

ちなみに雪崩屋の英語訳をAvalanchistとしたのは、縁戚のケンブリッジ大学名誉教授(霊長類学)Billで、霊長類の一種として公認されたような気分で、誇りに思う。

がむしゃらに勉強し、荘田幹夫博士(中谷宇吉郎先生の愛弟子)と四手井先生の強力な推薦があり、ドイツ文学者である父の助力もあり、ついに道なき道が拓けてスイスDavosの地に一家3人が立ったのは、1971年の復活祭、クロッカスの花が咲き乱れるころであった。

研究所の慰安旅行、72年5月、イタリア・コモ湖の船上にて


地元の夏祭りを楽しむ幼女(2歳)

いま思えば、家族連れなればこそヨーロッパを深く味わえた。

 

愛読書 W.フライク著「雪崩!」

60年代に読みふけった雪崩教本(1955)


 

60年代、北大の村井研究室が蔵していた宝物を、私はむさぼり読んだ。日本でいえば深田久弥とか

新田次郎の山岳作家が、オーストリアBludenzの著名な山岳小説家W.フライクであった。

 

愛読書 ハンス・ハイド「雪崩神話ー文化史ー」(2007)

 

 













































やはり巨大雪玉時代の雪崩。村人はなす術もない。

 

Hans Heidは山岳詩人にして民俗研究者である。オーストリアの雪崩中心地Oetztalに住み、氷河や雪崩について旺盛な創作活動を営む。

正直半分しか読み進んではいないが、豊富なカラー写真が楽しい。

 

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