水不足=雪不足+雪崩不足?
11月も末日
今年は秋立山も賑わい
今日から白馬のスキー場もオープンするみたいですね。
暖冬と言われている年に11月にスキー場がオープンできるのであれば良い滑り出し(色んな意味で笑)なのかなと思います。
水不足に喘いだ夏
夏は無農薬でお米や野菜作りをしていまして今年は本当に暑かった
どのぐらい気温が高かったかと言うと2年分で比較して、平均気温(8.9月)では2℃ほど、最高気温(8.9月)に至っては4℃程高いというぶっ壊れっぷり…
これはもう笑うしかない
(データは気象庁アメダス、穂高から引用)
気温が高いだけではなく、雨も降らなかった!
局地的な降雨が多かったため、同じ長野県内であっても雨が降ったところと降らないところの差は大きく開いた。
そのため私が住む生坂村にこのデータが当てはまるのかはわからないが、とにかく雨が降らなかった…野菜が枯れてしまうほどに
水不足、全国での影響
いくつかの例を取り上げていきたいと思う
2023年は深刻な水不足に陥った北アルプスの山小屋 暖冬予報通りなら2024年も渇水のおそれ(季節・暮らしの話題 2023年10月26日) - 日本気象協会 tenki.jp
2023年の夏から秋にかけて、北アルプスの一部の山小屋は深刻な水不足に陥りました。水は登山者にとって生命線ともいえるものですが、飲み水の提供を制限せざるをえない山…
まずはこれ、山での水不足
このブログを読む方はきっと山に登られる方が多いでしょうから山に登って山小屋で水が手に入らない!なんて経験をされた方もいらっしゃったのではないでしょうか?
私の住む地域ではこの2つのトピックを
実際に梓川も大町ダムも見に行ってきましたが水の無さに
「言葉になりませんでした」
なぜか?
梓川も大町ダムを抱える高瀬川も北アルプスを水源とする大きな川だからです。あれだけ大きな山を抱えて、雪が豊富に降るのに水不足?まじかいな…と言うのが私の抱いた印象です。
自分が生きている中で水不足なんて来ないだろうなと楽観的に考えていたので…
暮らしへの影響は?
実際に自分の暮らしの中でこの夏に水不足を実感した人はどのくらいいるのだろうか?
長野地域に住んでいれば、水不足の話題は聞こえてきても、実際に水不足を実感した方々は少ないのではないだろうか?
新潟襲う“水不足”コシヒカリ被害 “泳ぐ宝石”にも影響
■農家「60年で初めて」現場の危機
深刻な水不足。今、懸念されているのは食卓への影響です。
新潟県のブランド米「魚沼産コシヒカリ」を100%使っている都内のおに…
7分ぐらいの動画をぜひ見て頂きたい
米どころ新潟県は猛暑と水不足に喘ぎ深刻なダメージを負っていた。
1等米の比率は昨年から60.9%下落して13.5%だったらしい…
米どころ新潟県で1等米が13.5%って…
農家さん食っていけないじゃないですか
水不足=雪不足
この夏全国的にもたらされた水不足は単純に雨が降らなかったが故にもたらされたものなのだろうか?
もちろん、それも一つの要因であると思うが、私はもう少し違った観点で見ている
この夏に山でニュースになったのが白馬大雪渓ルートの通行止め
このニュースが飛び込んできた時にあぁ〜と落胆した(よく落胆ばかりするなぁ〜)
その理由は2016年にも雪不足で雪不足で大雪渓ルートが通行止めになっており、11月にドラマの撮影で雪のない大雪渓を見た時のことを思い出したからだ。
忘れもしない、白馬の山の生き字引が通行止めになった大雪渓を見つめ「こんな大雪渓を見たことがない」という言葉を今でも忘れることができない
冬前に大雪渓の見に行かなければならないと思った。
写真左が2016年に撮影したもの
右が今年の10/25に撮影したもの
2016年の時より雪が少ない…と感じた
地上から見ているだけでは全体像が見えてこないので
数年前には持つことの出来なかったドローンを駆使して
空から撮影して愕然(またかい…)
だって雪が全くないんだもの…
写真左は例年であればこのくらい雪が残っていますよ〜という図をGoogle earthさんからお借りしました。
差は歴然、言葉がありません
一時期は大雪渓も氷河なんじゃないか?と言われていた年もあった、その大雪渓の雪、白いダムが消失しかかっている
(白いダムの概念についてはこちらのブログをお読みください!)
故:若林隆三先生「雪崩と生きる」
水不足=雪不足+雪崩不足
今一度こちらの写真を見て頂きたい
赤マル印をしているところが2号雪渓と呼ばれている沢で
白馬岳山頂少し下から大雪渓までをズドンと貫いている大きな沢でよく雪崩れる場所(滑ったら楽しいよ、出だしはほぼ垂直ですが笑)
この写真から見えてくるのは
2号雪渓で大きな雪崩は発生していなかったんだなということ
写真を見比べると2号雪渓に雪が残っていないのがわかる
雪崩が発生すると雪粒子が細かく砕かれて密度増すので長い期間山に雪が残る。
雪田なんかも吹雪粒子(風に砕かれた細かい雪)が堆積することで密度が高く、長期間溶けずに山に雪が残る
大切なのは水資源として長期間山に雪が残ること
吹雪、雪が砕かれ、雪庇が発達崩落して、雪崩が発生すること
雪が降っていないんだから雪崩が出っこないじゃないか!
って言われたら返す言葉もございません
が、雪崩れるタイミングで雪崩を強制的に発生させていたら雪はどの程度残っていてくれたんだろうか?
と考えてしまうのが雪崩管理者としての思考
大雪の年に不作なし
農業の世界で言われている言い伝え
「大雪の年に不作なし」
22-23シーズンは暖冬小雪に終わった。
15-16シーズンは記録的な暖冬小雪で大雪渓は通行止めになり、全国で大規模な水不足が発生した。
この頃農業には従事していなかったので被害のほどはわからない
私は自然現象を捉える時にある決まり事をしていて
一つの自然現象を見たときには「気に留めて記憶に留める」くらいにしていて
同じ現象を2回目撃したときは
その現象が常態化していく
と考えている
この冬は暖冬の予報が出ている
11月30日時点でホームの八方尾根スキー場は兎平ゲレンデで1mの積雪によりスキー場がオープンしている
11月半ばに石川県に講習会でお呼び頂いた時に
水不足で喘いだ梓川流系がどうなっているのか自分の目で確認しておきたくて、上高地線、新穂高抜けのルートで富山へと向かった。
瀬切れが解消して
美しく流れる梓川を見たときに安堵したと同時に
10月半ば以降に山で降った大雪が11月の高温で溶け流れている…
来年使うべき水資源が…
私の目にはそのように写りました。
暖冬予報にスキー場内での雪崩事故の危険性は高まり
水不足への懸念まで出てきた。
さてどんなシーズンへとなりますかね…