雪崩あり豊かなり地球

雪崩あり豊かなり地球

 

2004年1月『雪崩賛歌』スノースタイル増刊Freeride#07(新田隆三)を発表。 以下はほぼ原文のままである。

 

雪崩は決して白い悪魔ではない
美しい自然現象である。

 

地球が誕生して今日までを考えると、生物の出現からはまだまだ歳月も浅く、

まして人間が生まれたのはごく最近のことである。

生物は昔から雪崩と付き合ってきた。雪崩の利点を活かし、うまく利用し、進化してきたといえるだろう。

 

さて、冒頭の図だ
まず水の源になる雪、雨が降るサイクルを考える

温かい海水と冷たい空気の温度差で雲が発生する
ちょうど風呂場で、寒いときほど湯気と水蒸気がモクモクと立ちこめる状態と同じである。

 

もし降水が雨だけならば、山地からすぐ河川に流れ、海へと流出してしまう
降雪なればこそ山岳に積雪として残り、ゆっくりと解けて春や夏に平野を潤す。

(舞台を若林の元の勤務先・信州大学研究林のある中央アルプスに移す)

 

傾斜地では積雪に働く熱と重力によって雪崩が起こる
雪田(せつでん)吹溜り型雪渓、雪崩型雪渓といわれる場所に雪は置き直され、淡水資源が貯蔵される。

山岳とは固体水資源の運搬、堆積、効率的貯蔵が行われる貴重な場である。

陽と風にさらされて一気に解けてしまうやも知れぬモノが、吹雪と雪崩により表面が
扇子を折りたたむが如く面積を縮める。風下斜面や日陰で風が当たらない谷に溜まる。

また、大雪崩のデブリ表面は堆積した枝葉の粉砕物、土石により断熱効果を発揮する
表面からの融解は制限され、むしろ川から立ち上る霧の凝結熱によって下(トンネル)からの融雪が優先する。

結論:吹雪や雪崩は厄介なモノではない

固体水資源の壮大な移動現象であり、天地の賜・Blessingである。

次回次々回は雪山生態学・雪崩の芸術性について雪崩賛美論を展開したい

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