これから起こりうる二つのシナリオ
先日の降雪で白馬もスキー場もオープンしてシーズンが始まりました。
今年は新しい取り組みが始まり、忙しい日々を送っているのでまだシーズンインをしたくなかったのですが、この週末に3日間滑ってきました。
やっぱりスキーは楽しいですね。スピード感が何とも言えないです。
これから起こりうる二つのシナリオ
こういう仕事をしていると、自然環境についての情報がいくつか入ってくる
雪崩の現場にいるからこそ見えるものがあったり、農に携わっているからこそ聞こえてくる話があったりする。今回は最近入ってきた情報をもとに、これから私たちが直面するかもしれない二つのシナリオについて書いてみたいと思う。
シナリオ1:温暖化が進む世界
近いうちにある研究者の論文が発表される。
内容は、今後の日本の気象モデルに照らし合わせて、現在の気温から2℃上昇した場合、そして4℃上昇した場合に、国内のスキー場がどれだけ生き残れるのかというもの。
まだ論文自体は見ていないのだけれど、内容を把握しなくても「まあそうだろうな」という感覚はある。衝撃的な内容であることは間違いないだろう。
なぜそう言えるのかというと、自分自身がこの数年、雪がなくなる将来を見据えていろいろと動いてきたからだ。
FWTの大会や国立公園内での雪崩管理であったり。これらに関わってきたのは、スキー場は上に上がらざるを得ないという確信があったから。
この論文が出ることで、自分の行動を裏付けるもの、確信を与えてくれるものになるのだろうなと感じている。
温暖化が進めば雪は降らなくなる。生き残れるスキー場は標高の高いところに限られてくる。これはもう避けられない流れなんだろうなと。
シナリオ2:寒冷化が訪れる世界
もう一つのシナリオがある。
これは気候予測を出しているある筋から入ってきた情報なのだが、一定の年数が経った時に温暖化は頭打ちになり、その先にあるのは寒冷化だという話。
寒冷化が始まった時に何が起こるのか。
温暖化していく中では、食料は平均的に作ることができる。暖かければ作物はやられるものもあるけれど、温かいうちは困らない。それに対応した品種や作付けの仕方を考えるなどして対応していくことができる。
でも寒冷化が来た時には、単純に作物が育たなくなる。
温暖化してCO2が増えていると緑が増えているのは実感している。自然は回復傾向にあるとも言える。CO2が増えると光合成が効率的に行われて、植物は水を必要としなくなる。
そういった面では緑は増えている。
ただ、自然変化が激しいため気象が荒れているのはすごく感じている。雨や雪などが局所的にものすごく降ったり、台風や災害などが増えて人が暮らしづらくなっているのは皆が実感している事だと思う
ただ、自然環境だけで見たときにはそんなに悪くなっていないかな、というのが私の考えだ。
太陽活動という視点
もう一つの見方として、太陽活動が活発化しているので温暖化が進み、海水温が上昇しているということが考えられるという話もある。
地球というのは長い目で見ると、ガイア理論で言われるようにバランスを取っているので、ただただ人間活動だけで暖かくなっているとは言い切れない部分もある。
その調整を地球が行った時には、いずれ寒冷化に入るというふうに考えている。
寒冷化への備え
じゃあどういうふうに対応していくのか。
寒冷化が起きたときには作物が育たなくなるので、飢餓が起こると思う。危機が確実に起こると思う。
その対策は現在、行われていない。
だから自分はその道も考えて、なるだけ自家採種をして、その時その土地その気温に合わせて育て、種を採る。
その土地に植物自身が馴染んで対応できるようにということをやってきた。
この七年、環境に適応できるように、その技術を身につけてきたということだ。
寒冷化しても絶対に生き残れるかどうかは分からない。でも寒冷化した時にも対応できる術を準備している
一つのシナリオに囚われない
自然に即して生きているのであれば、考えなければいけないのは温暖化が進むことだけではなくて、その逆のアプローチからも物事を見ておかないと大変なことになるなと感じている。
食糧危機が来た時にはスキーどころではなくなってしまうので、生きていくということを考えたら、輸入だけに頼るのではなくて自分たちで作物を作ることがとても大切。
例えば慣行農法であれば化学肥料や農薬を大量に使用する。化学肥料や農薬というのは基本的に輸入に頼っている。化学肥料というのは日本ではエネルギー資源がないから自給することができない。戦争などで価格が変動するし、輸入が止められた日には作物が作れなくなるというリスクがある。
種に関しても自家採種ができないような法律に変わってしまったし、種自身も日本で育っているものはごく少なく、海外からの輸入に頼っているのが現状だ。
そのあたりも考えて進んでいかないといけない。
終わりに
だから一つのシナリオに囚われるのではなくて、二つのシナリオを捉え考えながら、どちらにでも対応できるように生きていくことが重要なんじゃないかと思う。
温暖化が進む未来も、寒冷化に転じる未来も、どちらも起こりうる。
どちらに転んでも対応できるように、今から備えておくこと。
それが自然と共に生きるということなのかもしれない。

