三種の神器「一番こだわるべき道具は?」

アバランチギアこだわってますか?

今日は三種の神器と呼ばれる(言い方が古い?笑)写真も古い笑
雪崩トランシーバー(ビーコン)プローブ(ゾンデ)ショベルについて書いてみたいと思います。

三種の神器

雪崩トランシーバー(ビーコン)

雪崩に埋没した埋没者を捜索するための唯一の道具で
購入するときの目安にして貰いたいのは
[トリプルアンテナ](最新の機種はほとんどがトリプルアンテナ)
[マーキング機能]が付いているものを選ぶようしましょう

トリプルアンテナとマーキング機能の意味がわからない方は店員さんに聞くべし!
その意味も分からず安いからとネットで購入するのは論外

メーカーの機種によってはバージョンのアップデートがあった場合、ショップやメーカーでないと
アップデートを行えない場合があり、ネット購入品は対象外の場合もあります(要確認)

メーカーによってはメーカーサイトやアプリからアップデートを行える機種もあるためその点も購入時に確認する事をお勧めいたします。

プローブ(ゾンデ)

プローブは雪に埋もれた埋没者を探し出す道具
ないがしろにされがちだけど、結構重要な道具だったりします。
雪崩トランシーバー(ビーコン)は埋没者の近くまで誘導をしてくれますが
最終的に人を探し出すのはプローブです、えいや!と突かないとどこに人が埋まってるかわからないですよね。

積雪が多い地域であれば3m(長さ)の物を推奨(短いプローブでは深い埋没2mに対応できない、深い埋没であった場合プローブを深く刺す必要があるため、作業性の問題も出てくる)

自分は普段のパトロール業務であれば300cmと330cmのプローブを2本持ち歩いています。
個人山行の時は240cmの物を持っていく事もありますが、いく場所と状況によって使い分けています。

パトロール時にプローブを2本持っている理由としてはプローブが折れる事がある(使用頻度が高い)
というのとスノープロファイルの時に2本あると便利なため2本持ち歩いています。

個人山行の時に短いプローブを持っていく理由としては基本的に単独で山に入るため
独りで事故を起こした場合は基本的にどうしようもないため、事故を起こさないために軽量化を図って短いカーボンのものを持っていくようにしています。(パーティーの時は3mを携行)

この辺りの考え方は「リスクを受け入れる」を読んでみてください

リスクを受け入れる

最近は概念的な話が多かったのでもう少し踏み込んで「リスクを受け入れる」という事について書いてみたいと思う アバランチエアバッグ *写真は今期BCAから発売された初と…

 

ショベル

ショベルに関しては説明不要かなと思います。(雪崩トランシーバーやプローブと違い特殊な道具ではなく割と身近にある道具なため)
雪を掘る道具で何かと役に立つ便利な道具です!
というよりショベルが無いと掘ることすらできない

アバランチギアの中では一番使用頻度の高い道具になるかと思います。

一番こだわるべき道具は?

ズバリ全部です!って言うと記事を書いた意味がないんですが…(この記事は一般ユーザーを対象に書いています、プロであれば全ての道具にこだわるのは当たり前の事です)

一つ一つが命に直結しているので全部にこだわるべきだとは思いますが、少し違ったニュアンスで記事を書き進めたいと思います。

一番こだわっている道具は何ですか?こだわるべき道具は何ですか?と聞かれたら

ショベルです。

と答えますし、ショベルにこだわって下さいと伝えます。

1.5m以上雪を掘った事ありますか?無いのであれば今シーズン是非実践してみて下さい

事故が起こった際には大まかな捜索の流れは3つに分類する事ができます。

捜索の流れ
1.雪崩トランシーバー(以下ビーコン)で埋没者を探すフェーズ
2.ビーコンで埋没者への最小距離(値)を絞り出し、プローブで埋没者を探すフェーズ(埋没者はあなたの立っている下、雪の中に埋まっている)
3.プローブで埋没者を発見したらショベルで掘り出すフェーズ ↑の写真

以上の大まかな3つの流れになるかと思います。

雪崩に埋没してから掘り出し終了の目安時間は18分と言われています(雪質による)
(18分を過ぎ35分までの間に生存率は1分毎に2〜3%(急激に)落ちると言われています)

一番コストや時間ががかかるのは?

この中で一番労力や時間がかかるのはズバリ!3の掘り出しです(埋没深による)
ビーコン捜索に一番時間がかかると思われてサーチ&レスキューと言えばビーコン捜索を練習される方が多いと思いますが、時間がかかるのは使用する側の問題であって、練習を重ねれば問題は解決してくると考えます。(1〜2人の埋没であれば最新のビーコンであれば苦労する事はないはずです。)

1.5mの深さを掘ろうと思ったらどのぐらいの時間がかかるかご存じですか?
パーティの熟練具合や雪の硬さにもよりますが、サーチ&レスキューの基礎講習会で
見ている限りでは1、5mのプローブを倒すのに15分ほどかかっています。

掘り出し終了の目安って何分でしたっけ…?
これを読んだあなたはとにかくショベリングの練習をしましょう!
(ちなみに白馬の強者達が集まってショベリングをした時は2.3m程を12分で掘り上げました。熟練するとはそういう事です)

一番コストがあり、一番課題が残るのがショベリング(掘り出し)です。
掘り出しに関しては練習を繰り返す事で解決出来る部分と
道具の選択によって解決出来る部分の二種類に分ける事が出来ると思います。

雪国の鉄板ネタはショベルを持った時の立ち姿
ショベルを持って腰が引けて笑われる人は死ぬほど練習しましょう笑

ショベル選びの何にこだわるべきか

一番は強度!
最新のレスキューでは硬い雪を掘る時はショベルを足で蹴り込んで掘り出す方法を教えています。
シーズン前に自分のショベルを出して、雪もしくは土の上で肩の部分をスキーブーツで蹴り込んでみてください。
それで形が変形するようであれば使用に適していないと言えるでしょう。

強度の目安としてはUIAA規格 をクリアした物を選んで頂くのが確実かと思いますが
各メーカーUIAAを目安に準拠する物を作るようになってきてると思います。

2番目にこだわるべきは

グリップ!
意外と思われるかもしれないがグリップはかなり重要です。
何故ならグリップの規格は外国人の大きな手に合わせて作られている場合が多く、手の小さいアジア人には合うのか?という疑問が残ります。(使った事ないけどモンベルさんのショベルはアジア使用なのだろうか?)
テムレスMサイズでピッタリな指の短い自分からするとグリップの握りやすさというのは超重要!
それこそ死ぬ気で10分以上雪を掘るわけですから、グリップとの相性が合わないと力入らないし、疲れるしで最悪ですよ。(硬い雪なんか削れない)

そこで私がオススメしたいグリップはDグリップ

by カエレバ

どのグローブを着用していても握り易く、力が入り、雪を排出する動きパドリングがやり易いです。
ショベルの雪を投げる時にDグリップ特有の手首をこねる(表現合ってる?)動きが出来るのが何よりの魅力です。
ショベルを選ぶときはDグリップで無くてもいいので
必ず自分が使用しているグローブをお店に持って行って握り心地を試してみてくださいね〜
手の大きさによって使い易い道具というのは変化してくるものだと思うので!
自分に合ったショベルを選択してみてください。
オススメは強度+握りやすさでBCA DOZER 2Dをオススメしておきます。
私に至っては2Dを試した時に他の全てのショベルを倉庫に仕舞い込みました。

まとめ

道具はこだわりを持って購入しましょう
使う機会なんかないだろうからとりあえず持っておけばいいよねと
ないがしろにされがちなプローブやショベル
現場ではとても重要な道具でもっともこだわるべき道具の一つです。
買ってザックにしまっておしまいでは無く、使い込んで手に馴染ませ、意識しなくても
組み立てられるくらいに使い込んでおきましょう。
普段からスムーズに組み立てられなければ、現場はパニックだから絶対にできっこ無いですよ。

三種の神器の中でビーコンというのが一番の話題に上がりがちですが
本当にそれでいいの?というのを現場の観点から書いてみました。

大きい声では言えませんが一般ユーザーであれば最新のビーコンを持ってさえいれば
特殊機能、代替サーチモードを使えなくても1〜2人であればそんなに苦労せずに探し出す事ができるのでは無いでしょうか?(マーキング機能は使いこなしてね)

プロと呼ばれる人達は別ですよ
複数埋没や深い埋没に対応できなければならないし
メーカーごとの機能や性能の違いを把握して使い分けられるくらい熟練しておく必要があると思います。(完全に沼にハマる)

サーチ&レスキュー基礎講習会のお知らせ

最後に12月16日(金)に企画したサーチ&レスキュー講習会のお知らせをして締めたいと思います。

『白馬雪崩の学び舎』主催で初の実技講習会となります。
三種の神器の使い方を丁寧に伝えていきますよ!

申し込みは以下のイベントページから

白馬雪崩の学び舎 | Peatix

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