AVALANCHIST-Theory Prologue 1 #3
AVALANCHIST-Theory Prologue 1 #2 からの続き
耳と目がアウト→大雪山緩斜面スキー滑降による地吹雪なだれ事故
強風のうなる音とホワイトアウトで大パーティへの指示がいきわたらない。結果、皆が一斉に斜面を切り刻んだ。昭和28年(1953年)春、ベテランスキーグループが緩斜面を下降中、24人が雪崩にまきこまれ6人が死亡。
地吹雪+ナダレ地形に慣れすぎたガイド
八甲田山前嶽-地吹雪なだれ
出川あずさ著『雪崩事故事例集190』山と渓谷社 2021 p.106に的確な解説がある:
数日前からの降雪によるスラブあるいはウィンドスラブの可能性が高い。事故後に上部から降りてきた外国人グループがおり、自然発生あるいは人的誘発のいずれもありうる。前嶽下部の雪崩地形内滑降中のガイドを含む13人が被災、樹木に激突した2人が死亡。
こすが聖絵さんはツアーに同行し、雪崩の辺縁部で巻き込まれたが運よく助かった。
激突死した夫への鎮魂記・ブログ集『雪煙』(美術出版社 2007.11)に当日の状況が詳しい
昨日と打って変わって、風が強くロープウェイも減速運転をしていた。
一般的には、こんな気温の高い吹雪の中を滑ったことが雪崩の原因だった。
そんなときにツアーを中止しなかったのが悪かったと思われるかもしれないが、八甲田では吹雪の中を滑るのは当たり前、この日の気候は私たちにとって決して珍しくはなかった。
雪は、気温が高いせいか、すこし重たい感じがした。
何より風が強くて、滑っているというより、風に押されているという感じだった。
志賀高原スキー場の地吹雪なだれ事例
1996年1月27日、志賀高原前山スキー場の立入禁止区域をスキー滑降していたグループが、面発生表層雪崩を誘発
3人が巻き込まれ、うち1人が窒息死。
スキー場の立ち入り禁止措置等をめぐる民事裁判も起こった。
14年後、先の事故死・前山スキー場から大雪崩が発生し、今度は国道を越えてホテルと駐車場を襲った。
降雪をともなう暴風雪は2日前に終わっていたが、その後も強風は吹き荒れていた。
私の信大の教え子であるAvalanchist 池田慎二が現場へ急行した。人的被害が無かったのは幸いである。
現場の声
これまで国内の沢山の遭難の当事者から話をきいた。また、私自身の豊富な山スキー体験もある。
暴風雪が止んで、次の日風は強いが薄日が差している。部分的にホワイトアウトで、ラッセルは若干重い。尾根から浅い振り子地形に入り滑っているうちに、雪崩が起きた。
他の関係者が書いた遭難報告はどうであれ、横風に注目する「先生」の説明には納得がいく。